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Wi-Fiのこの20年を振り返る

Perry Correll Director, Product Marketing Published June 25, 2019

Wi-Fiのこの20年を振り返る

Wi-Fiは、20年以上にわたって、企業の接続に欠かせない技術であり、今なおその地位を保っています。Wi-Fiは今やあらゆる場所に普及しており、無線のエコシステムが拡大し続けても、5GやCBRSなどの次世代のワイヤレス技術革新と共存し、かけがえのないインフラとして、人々、テクノロジ、コミュニティをつなぐコアであることは間違いありません。

 Wi-Fi Allianceによると、現時点で130億台のWi-Fiデバイスが使用されています。Wi-Fiは、他のすべての無線テクノロジの合計よりも多くのデバイスを接続し、多くのトラフィックを搬送します。これにより、オフィスビルの電子メールシステムや、スポーツやエンターテインメント会場でのデジタルファン体験から、病院や医療施設での救命医療機器まで、あらゆるものがサポートされます。本日、Extreme Networks は、国際的なWi-Fiコミュニティとともに、World Wi-Fi Dayを祝い、このコミュニティが世界中の人々、テクノロジ、企業をつなぐうえで重要な役割を果たしていることを讃えたいと思います。

たとえば、オーストラリアで急成長中のコワーキング施設の1つであるWatermanは、新規企業の日々の業務の基盤となるBYOD環境を、信頼性の高い高密度Wi-Fiによって実現しています。毎年開催されるヨーロッパ最大級の野外音楽・スポーツフェスティバル、Zwarte Crossは、22万人の参加者にWi-Fi接続を提供して、このイベントをモバイル対応、SNS対応の共有可能な体験に変えています。また米国では、Bowen CenterがWi-Fiを利用してトップクラスの患者ケアを提供し、EMRシステム、遠隔医療イニシアティブ、ミッション・クリティカルな医療機器をサポートしています。

Extremeは、無線接続の進化を促進するだけでなく、相互運用性の標準を設定する上でも重要な役割を果たしてきました。創立メンバーであるSymbol TechnologiesEnterasys Networksの2 社と、後から加わったCabletron Systemsの併せて3社が、WECA(Wireless Ethernet Compatibility Alliance)の初期メンバーです。

WECAは、消費者による購買判断を容易にするため、さまざまなベンダーが提供するPC無線LANカード、デバイス、およびアクセスポイントに関する厳格な相互運用性テストを提供する目的で設立されました。初期の努力が実を結び、Wi-Fiロゴの付いた製品同士は、購入してすぐに相互接続できるようになりました。

わずか20年のWi-Fiの歴史
Wi-Fi接続デバイスは、最初の802.11規格が発表されて以来、長足の進歩を遂げてきました。当時、無線で接続される製品はWaveLANと呼ばれていました。2003年のWiredの記事には、次のように描写されています。「ペーパーバックほどの大きさで、2人分の食事代程度の価格の箱が、フットボール場ほどの広さのエリアに、魔法のようにブロードバンドインターネットを提供します。これを受信するのは、ブック型マッチ程度の大きさのカードです。次に購入するノートパソコンには、Wi-Fiが内蔵されているでしょう。電源ケーブル以外のケーブルは不要となります。」

iPhoneが登場するはるか昔、相互接続されるデバイスは主にPCとノートパソコンであり、多くがピア・ツー・ピア接続でした。今日、Wi-Fiの利用は、Wi-Fiスマートボード、ディスプレイ、VRヘッドセット、ロボット工学を駆使したスマートスクール、Wi-Fi輸液ポンプ、患者モニター、ビデオシステムを備えたスマートホスピタル、Wi-Fi 対応のドアロック、照明、音楽、テレビ、さらにはドアベルまで備えたスマートホームにまで及びます。スマートファクトリには、Wi-Fiレンチやコンベヤベルトなどがあります。さらに珍しいWi-Fi製品としては、スマート卵トレイ、スマートウォーターボトル、ピッチャー、赤ちゃんのおむつ交換用パッド、ワインボトル、デンタルフロス、歯ブラシなどがあります。

20年前のその時代から、Extreme Networksと先駆的企業は、コントローラ、コントローラレス、クラウド・ベースソリューションの進歩を推進するなど、クライアントとインフラストラクチャ (アクセスポイント)の両方でWi-Fi開発をリードしてきました。

「Enterasys and Cabletron、Chantry Networks、Siemensに勤務していた初期の頃から、基本のCAPWAP標準の確立など、Wi-Fiの商品化の最先端を走り、時には進化を牽引していました。20年後の現在、先端技術の革新スピードは上昇し続けており、当社はこれまでのWi-Fi投資から利益を得られる戦略的な立場にあります。
– Cristian Mircea、エンジニアリング担当副社長、Extreme Networks

イノベーションの醸成とヒューマン エクスペリエンスの向上

2019年、Extremeは、スタジアム環境に特化したWi-Fi6アクセスポイントを他に先駆けて提供しました。当社はNFLのオフィシャルWi-Fiソリューションプロバイダーであり、28か所のNFLスタジアムのほか、数多くの大学スポーツ、プロスポーツ、eスポーツにソリューションを提供しています。これは、高密度な屋外ネットワークという困難な問題を解決する専門知識を備えているからです。実際、当社のスタジアム仕様のWi-Fiソリューションは、あらゆる種類の企業が、より多くのユーザとデバイスをより効率的にサポートするために利用されています。

オートノマス エンタープライズ(自律的企業)の時代にあって、経験の向上はかつてないほど重要です。今日、人々は物質的なメリットよりも望ましい経験を重視するからです。スポーツ イベントへの参加、ホテルでの滞在、買い物、大学までの学業において、消費者は見た目や感触から機能や利点に至るまで、あらゆる細かい点で大きな期待を寄せており、それにはWi-Fiも含まれています。

「照明のスイッチをオンにしても明るくならなければ、大変なことです。一体どうしたのかと思うでしょう。Wi-Fiは、イーサネットのバック・エンドとともに、コアに至るまで同様の信頼性が期待されています。信頼性と安定性は、ユーザエクスペリエンスを支える柱です。ユーザエクスペリエンスこそが最も重要なのです。 
– Devin Akin、販売イネーブルメント担当ディレクタ、Extreme Networks

あらゆる業界でデジタル変革が進む中、24時間365日の接続性に対するニーズはますます高まっています。インターネットはもはや単なる有用なツールというだけでなく、仕事や生活の一部として不可欠な要素です。自宅でピザを注文する場合や、食料品を買いに行く時間がない場合は、指で数回スワイプするだけで解決できます。オフィスでは、モバイルデバイス、タブレット、ノートパソコンなどが広く使用され、従業員はいつでもどこでも作業できる環境を期待しています。

私がネットワークの仕事で大好きなことの1つは、この仕事が単に次の高速スイッチポートを作ったり、最新のチップセットを使って新しいアクセスポイントを作ったりするだけではなく、物事を接続し、Wi-Fiが次のような取り組みの原動力になることです。

  • 個人に合わせてカスタマイズしたショッピングエクスペリエンスの創出
  • ヘリポートを使用した救命飛行と医師の連携
  • 学習困難の克服を助ける支援ソフトウェア
  • 建物内や会場内での重要なイベントへのリアル・タイム対応

今日、Wi-Fiが私たちの生活において重要な役割を果たしていることは明らかです。業界によって多少異なる課題はありますが、結論は同じです。Wi-Fiは今や決定的に重要な位置を占めています。そしてWi-Fi技術の次のバージョンであるWi-Fi6が、さらに革新を進め、ユーザエクスペリエンスを向上させることは間違いありません。

Wi-Fiの将来展望

近年、無線の将来やWi-Fiに代わる技術が登場するかどうかについて数多くの議論がなされています。5GとCBRSテクノロジへの関心が高まっていることを考えると、このような議論が出るのは当然のことです。

20年を経てWi-Fiは終わりを告げるのでしょうか。それはあり得ません。終わる気配はまったくありません。Wi-Fiは、企業のネットワーク接続に不可欠です。Wi-Fi NOWのClaus Hettingが的確に表現しているように、「Wi-Fiは無線通信のスイスアーミーナイフともいえる存在で、ほとんどすべてのタイプのデバイス、展開、市場、ユースケースをサポートできます。」ほとんどすべてのデバイスで、デフォルトの無線テクノロジとして搭載されているため、他のどのような技術もすぐに代替することはできません。

Wi-Fiもまた進化しています。最新世代のWi-Fiは、高効率無線(Wi-F 6または 802.11ax)です。前世代のWi-Fiが1つのデバイスのスループットに焦点を当てていたのに対し、高効率無線は1つのクライアントからではなく、システム全体から高い性能を引き出すように設計されています。Wi-Fiの導入に関してネットワークのOEMや企業が直面している問題のほとんどは、効率性に関するもの、つまりWi-Fi5または802.11acに依存することの影響であるため、まさに進化する絶好のタイミングです。

 Wi-Fiはこの20年間で大きな進化を遂げた
この進化を最初から体験して来た人間もいる

 

802.11acは強固なWi-Fi規格であり、当初からその役割を十分に果たしています。802.11axは、次のバージョンのWi-Fiであり、同じテクノロジ上に構築されていますが、いくつかのバリエーション、拡張機能、新機能があります。802.11acは、理論上の最大速度が1.3 Gbpsとなり、確実にパフォーマンスが向上しています。

効率化への要求が飛躍的に高まる中、802.11axは高密度環境での輻輳を緩和するように設計されていますが、同時に、IoT 導入の最適化からビデオ会議用の容量の増加まで、企業をサポートするその他の多くのメリットをあわせてもたらします。言うまでもなく、それが引き続き世界中でつながりを増やし、人間の体験を向上させることは間違いありません。

これまでのWi-Fiの歴史は驚異的な20年であり、個人的に次の展開を待ち遠しく思っています。これからの 20 年は革新的な時代となるでしょう。

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