Perry Correllコンペティティブ インテリジェンス担当ディレクタ2019年4月20日発行
最近、無線テクノロジの将来やWi-Fiが取って代わられるかどうかについて数多くの議論がなされています。正しい意見もあれば、そうでない意見もあります。それらを踏まえ、ここでは、ブログ記事『Wi-Fi6は、将来の無線テクノロジにおいて主要な選択肢となるか』の補足として、また近日開催のWebセミナー(開催終了しております)『Wi-Fi 6、第5世代、CBRS無線テクノロジの競合、コラボレーション、または単なる共存』に先立って5GとWi-Fiについて掘り下げてみたいと思います。
5Gとは
5Gは、第5世代(5thGeneration)の略で、5番目の携帯電話通信を意味します。携帯電話通信は、これまで以下のような段階を経て進化してきました。
5G時代の始まり
5Gは、国際電気通信連合(ITU)のIMT-2020提案(2012)をベースにしています。これは、2020 年時点で実現されるべき世界の電気通信としてITUが掲げているビジョンであり、技術レベルでは、以下の目的に沿って策定されました。
· データレートの高速化
· レイテンシの低減
· 省エネルギーの推進
· コストの最小化
· システム容量の拡大
· 大規模なデバイス接続を実現
しかし、ビジネス価値として重要なのは、信頼性の高い通信を提供して、複数のミッションクリティカルなアプリケーションを同時にサポートすることでした。5Gの詳細については、IEEEのWeb サイトをご覧ください。
5G の特長
5Gの目標は、あらゆる種類のデバイスやアプリケーションをサポートできる無線通信サービスを提供し、それぞれが必要なレベルのサービスを受けられるようにすることでした。また、単一の無線テクノロジに限定されないことも重要でした。
5Gには進化した無線アクセス テクノロジが統合されていますが、真のメリットのほとんどはコアネットワークにあります。5Gでは、ネットワークの仮想化とスライシングという用語が、物理層のインフラストラクチャ上に通信業者が仮想ネットワークを定義できるという概念とともに頻繁に使用されています。これらの仮想ネットワークを使用することで、特定の用途や市場要件に合わせてネットワークをセグメント化することができます。これにより、新しいレベルのサービスが必要になった場合に、ネットワークを迅速に再構成して拡張できるわけです。
この興味深いテクノロジ、5GはWi-Fi に取って代わるか
答えはノーです。
過去10年間、通信事業者の無線テクノロジが改良されるたびに、Wi-Fiに取って代わる可能性のあるテクノロジとして宣伝されてきましたが、その答えは常に同じで、いまだWi-Fiは健在です。
モバイルWiMAX、3G、4Gでも同じように言われてきました。5Gでも同じ答えになるでしょう。
5GとWi-Fi6にはどちらも長所と短所がありますが、それぞれの機能を組み合わせることで、それらが補完し合って、あらゆる種類の通信とユースケースに応じて最適化したインフラストラクチャが実現します。実際、Wi-Fi AllianceとWireless Broadband Allianceの両方は、テクノロジを活用し、無線通信を強化するために協力しています。
それでも納得できなければ、このように考えてください。現在、約90億台の Wi-Fi機器が使用されており、毎年30億台以上増加しています。一方、5Gデバイスは、最も楽観的な予測でも、2024年までに15億台程度に過ぎません。5GがWi-Fiに取って代わるのを妨げる問題は他にもいくつかありますが、それらについては、次回のWebセミナー(開催終了しております)「Wi-Fi 6、第 5 世代 CBRS 無線テクノロジの競合、コラボレーション、または単なる共存」で説明したいと思います。
5G の概要については以上です。次回は、CBRS テクノロジをご紹介します。前回のブログ記事をまだご覧でない方は、こちらの『Wi-Fi 6 は、将来の無線テクノロジにおいて主要な選択肢となるか』をぜひお読みください。